じんましん
\ 院長からひと言 /
じんましんは、突然現れて数時間で消える、非常に厄介な病気です。「かゆくて眠れない」「いつ出てくるかわからない」といった不安を抱えがちですが、適切に治療すれば、症状を抑えて日常生活を送ることが可能です。
「このかゆみ、どうすればいい?」と一人で悩まず、迷わず皮膚科医に相談してください。
じんましんとは?
じんましんは、皮膚の一部が突然、赤く盛り上がり(膨疹)、強いかゆみを伴い、多くの場合数時間以内に消える病気です。
「膨疹」というこの特徴的な発疹が、じんましんの最も重要なサインです。
じんましんは、皮膚の真皮にある肥満細胞から、ヒスタミンなどの化学物質が放出されることで起こります。このヒスタミンが、血管を広げたり、神経を刺激したりすることで、皮膚が盛り上がったりかゆみを感じたりします。
原因によって様々な種類に分類されますが、原因が特定できない「特発性じんましん」が最も多く、全体の8〜9割を占めると言われています。
原因と種類
じんましんの原因は、大きく「特定できるもの」と「特定できないもの」に分けられます。
特定できるじんましんには、以下のようなものがあります。
• 食物や薬によるもの:特定の食品(エビ、カニ、そば、ピーナッツなど)や薬(抗生物質、解熱鎮痛剤など)が原因となることがあります。
• 物理的刺激によるもの:衣類による摩擦、日光、寒冷、温熱、圧迫などが原因で起こります。
• アレルギーによるもの:花粉やゴム、動物のフケなど、特定のアレルゲンに触れることで引き起こされます。
• 感染症によるもの:風邪やウイルス感染などがきっかけになることもあります。
一方、原因が特定できないものを「特発性じんましん」と呼び、さらに6週間以内に治まる「急性じんましん」と、6週間以上続く「慢性じんましん」に分類されます。

機械性じんましん

環状形態のじんましん
治療法は?
じんましんの治療は、原因を特定して取り除くことが最も理想的ですが、原因が分からない場合が多いため、薬物療法が中心となります。
薬物療法
最も基本となるのは「飲み薬」です。ヒスタミンの働きを抑える「抗ヒスタミン薬」や、さらに効果が強い「抗アレルギー薬」を内服します。
近年では、眠気の少ない新しいタイプの薬剤も開発されており、ライフスタイルに合わせて選択できます。
慢性じんましんの場合、症状を抑えるために、複数種類の薬を併用したり、定期的に内服を続けることが大切です。
また、従来の抗ヒスタミン薬が効きにくい難治性のじんましんに対しては、生物学的製剤による治療が有効な場合もあります。
生活で気を付けることは?
じんましんはストレスや疲労で悪化することがあります。規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠と休養を取りましょう。
また、アルコールや刺激物(香辛料など)は血管を拡張させ、じんましんを悪化させる可能性があるため、摂りすぎに注意が必要です。
症状が出たとき、かゆいからといって掻きむしると、かえって症状が悪化したり、炎症が広がったりすることがあります。保冷剤や冷たいタオルで患部を冷やすと、かゆみが和らぎます。
