皮膚潰瘍
\ 院長からひと言 /
皮膚潰瘍は、皮膚の深い部分がただれて、治りにくく、重症化すると強い痛みや感染を伴うことがある病気です。特に、ご高齢の方や、糖尿病などの持病をお持ちの方に多く見られます。
「たかが傷」と自己判断して放置すると、治りが遅れたり、状態が悪化したりすることがあります。
早期に適切な治療を始めることで、治癒を早め、重症化を防ぐことができます。
「治らない傷があるな」と思ったら、迷わず皮膚科を受診してください。
皮膚潰瘍とは?
皮膚潰瘍は、皮膚や皮下の組織が欠損し、えぐれたような状態になることです。
皮膚の表面だけでなく、真皮や皮下組織にまで達する深い傷で、その原因は非常に多岐にわたります。
主な原因としては、血行障害、糖尿病、外傷、圧迫、感染症、自己免疫疾患などが挙げられます。
一度できると治りにくく、数週間から数年間にわたって慢性化することがあります。
原因と種類
皮膚潰瘍は、その原因によっていくつかの種類に分類されます。
• 褥瘡(じょくそう)
• 原因:寝たきりなどで、同じ部位が長時間圧迫されることによって血行が悪くなり、皮膚や組織が壊死してできる潰瘍です。
• 特徴:おしり、かかと、ひじなど、骨が出っ張っている部分にできやすいです。
• 下腿潰瘍(かたいかいよう)
• 原因:足の静脈や動脈の血行障害が原因でできる潰瘍です。静脈瘤がある方や、動脈硬化が進んでいる方に多く見られます。
• 特徴:足首の内側や、すねなど、下腿(かたい)にできやすく、強いかゆみや痛みを伴うことがあります。
• 糖尿病性潰瘍
• 原因:糖尿病による神経障害や血行障害が原因でできる潰瘍です。痛みを感じにくいため、気づかないうちに悪化していることがあります。
• 特徴:足の裏や指先など、体重がかかる場所にできやすく、感染を起こしやすいです。
治療法は?
皮膚潰瘍の治療は、原因の特定と、傷を治すための適切な処置を組み合わせた総合的なアプローチが必要です。
治療方法
【 外用薬による治療 】
• 方法:傷の状態に合わせて、軟膏やクリームを塗布します。
• 目的:細菌感染を抑え、傷の治りを促進させることを目指します。
【 壊死組織の除去 】
• 方法:壊死した組織や汚れを、手術や特殊な軟膏を使って取り除きます。
• 目的:清潔な状態にすることで、新しい皮膚の再生を促します。
【 原因疾患の治療 】
• 方法:潰瘍の原因となっている病気(糖尿病、静脈瘤など)を治療します。
• 目的:根本的な原因を解決することで、再発を防ぎ、傷の治りを助けます。
どのような治療法が適切かは、潰瘍の原因や深さ、大きさなどを総合的に判断して医師が決定します。
生活で気を付けることは?
皮膚潰瘍は、予防が非常に重要です。
• 清潔を保つ:傷口を清潔に保ち、細菌感染を防ぎましょう。
• 圧迫を避ける:褥瘡を防ぐため、体位変換をこまめに行ったり、専用のマットレスやクッションを使用したりしましょう。
• 足をチェックする:特に糖尿病の方は、毎日ご自身の足を観察し、小さな傷や水ぶくれがないか確認しましょう。
• 禁煙:喫煙は血行を悪化させ、傷の治りを遅らせる原因になります。
• 栄養:タンパク質やビタミンを十分に摂ることで、傷の治りを助けます。
